大学受験のとき女子大生に弟子入りした話

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おととい経済学部事務室に卒論を提出した。
大学生活ももうおしまい。

ところで受験生のころの話って需要あるかな?

とりあえず書いてみようと思います。

2: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/ 2015/02/01(日) 17:08:57.38 ID:UuNjMfaq0.net
見てるよ

>>2
ありがとう! 
なんか緊張するなw 


○︎高校

俺の名前はタロウってことにしとく。

俺はまぁまぁの進学校に受かってさ、お母さんとか大喜びだった。
「すごい…すごいよ、タロウ!」

ウチはあまり裕福とは言えない。
父親はバイクショップの自営業で、お母さんはパートだ。

それでも「なんでも好きなもの食べさせてあげる!」と言って
へそくりですんごい高いステーキを食べさせてくれた。

あれは最高に柔らかくて美味しかった。


新聞部はゆるゆるの部活だった。
そこで柏木という親友ができた。

「なぁタロウ、女子校の文化祭行こうぜ!」
1年のとき、俺たちは知り合いが1人もいない女子校に突撃した。

「こんにちは、ご主人さまっ!」
1年生がメイドカフェをやっている教室に入り、ジュースやお菓子を食べていると、
かわいい女の子が声をかけてくれた。

胸には‘‘みき’’と書かれた名札をしている。

テンションが高くなってた俺は「似合ってるね〜!」と言うと
「ありがとうございます、ご主人さまっ!」と元気に返してくれる。
「まっ!」をがんばって言ってる感じがかわいい。

そのあと俺たちは男子校だと教えると、
「ウチの高校にだれか友達とかいるんですか?」と聞いてきたので、
「ああ、2年生に知り合いがいるんだよね」と言っておいた。

そのあと、男子校はさみしいという話になり、
柏木が「俺たちにも、みきちゃんみたいな女友達が欲しいな〜」というと女の子は笑った。

柏木とはこんな遊びばっかりしてたw

「キレイなOLいるんじゃね?」って理由だけで丸の内を散策したり、
渋谷の109に男2人で入ったりした。

でかいアウトレットで朝からナンパして、やっと夕方に女子高生を捕まえてミスドを食べたり。


でもそんな楽しい日々も長くは続かなかった。
1年の1月、俺はボウリング場でバイトを始めたんだ。

新聞部ってのは普段はヒマで漫画ばっかり読んでるんだけど、
新聞を発行する直前はすごく忙しい。

部長は、「タロウはバイトしてるから、負担を減らそう」と言ってくれた。

「悪いな」と思ったけど、甘えた。
バイト始めたばっかりだから、仕事を覚えるためにシフトを多くしたかった。

1年おわりの春休み、新入生向けの新聞を準備するというクソ忙しいとき、
俺は相変わらずバイトに精を出していた。
経済的に困ってるとかの理由はない。
ただバイトが楽しかったからだ。
部長は「まぁタロウは、バイトしてるし……」ってなって、また俺の負担は減った。
また俺はそれに甘える。

こうなると、新聞部の人たちは俺を信頼しなくなる。
発刊の時期はもちろん、ヒマな時期も部室で居心地わるく漫画を読んだ。

まず柏木以外の人が俺を避けるようになった。
やがて、柏木も俺とやや距離を置くようになった。

ついに部室に俺の居場所はなくなった。
俺はバカだから、ここで初めて自分がみんなの信頼を失うことをしたと気づく。

でももう遅い。
部活をやめてしまった。

新聞部をやめると、高校が一気につまらなくなった。
俺は実はクラスの人たちとあまり仲が良くなかったんだ。
なにかっちゃあ、新聞部でつるんでたからなぁ……
喋る相手にも困るような高校生活が続いた。


さらに2年1学期の期末試験のあと、俺は数学の先生に呼び出された。

「タロウくん、もうちょっと頑張れないの?」
期末の範囲は三角関数だった。
「君、4点だよ。」
「ああ…そうですか…」

予想どおりだった。

数学は極めて苦手だった。
学校が楽しくない時期に、数学なんかやる気にならんわw

「夏休みに補習するから、それまでにこの課題やっておいてね。」

先生はプリントの束を「パンっ!」と俺の手のひらに乗せた。
プリントは10枚くらいあった。

数学の課題がめんどくさい。

そんなある日、ネットで高認のことを知った。
「へえ…」
高校をやめても大学に行くルートがあるわけか…

新聞部には戻れない…
柏木はもう遊んでくれない…
クラスに友達はいない…
数学の課題はめんどくさい…

そのあと2日くらい考えて高校をやめることにした。

やめるに当たり、お母さんと揉めた。
「ううう…うううっ!…ううううっ……」
怒鳴りあいのケンカもした。
最終的にお母さんを泣かせ、お母さんが折れて中退が決まった。

高校をやめたあと、柏木から毎日電話とメールが殺到した。
1日10件とかのレベルだ。
俺はそれを全部無視した。

メールにはこういうことが書いてあった。
「中退したって、本当なの!?」
「もしかしてクラスで何かあったの!?」

ずっと無視してたら、柏木からのメールは来なくなった。

でも数日後、またメールが来た。

「俺にくらいちゃんと教えてくれよ!」
「お前とまた遊びたい!」

柏木……
ここまで本気で心配してくれる人は柏木の他にはいなかった。

柏木と遊んだ楽しい毎日が頭の中で再生されて、泣いた。
「かしわぎぃ、、、ううう、、、」

中退するということは俺にとっては軽く決めたことだった。
だけど実は軽くなかったんだ。あとになってそれに気づく。

「柏木ぃ……かしわぎぃ…ううぅ…」

でも柏木に返信したり、電話することはしたくなかった。

こんな自分が恥ずかしい。
柏木に怒られるような気がして怖かった。
それに中退はもう決まってしまった。
柏木のところには帰れない。

俺は柏木に最後のメールを作成した。
「今までありがとう」という旨をメールした。

そのあと、高校卒業程度認定試験は一橋大学で受け、合格した。

高認は確か10科目くらい試験を受けなくてはいけないんだけど、
俺の場合は現代社会と世界史だけで済んだ。

1年の時に他の科目は授業受けてるから、免除された。

(なんだよ…楽勝じゃん…)

正直なところ、現社も世界史も高校入試の時の知識だけで足りた。

(こんなんで高校卒業程度……)

1年で高校をドロップアウトして、たった2科目で高卒認定w
なんとも安っぽいハナシだと思ったw

○ボウリング場

すこし時間を遡る。

さっきも書いたけど、俺は新聞部だった頃にボウリング場でアルバイトを始めた。
高校1年の3学期だ。

そこには佐藤さんという21歳のフリーターがいた。
かなりキレイな女性だ。

「はーい、じゃあタロウくん、今日はお疲れ様〜」

佐藤さんは21歳にして高校生とか大学生の新人に仕事を教える若手のリーダー的な存在だった。

新人で研修期間中の俺が答える。
「お疲れ様でした〜」
「タロウくん、次いつ入れる?」

それはもちろん…
「佐藤さんがいる時でお願いします!」

佐藤さんは微笑んで聞いた。
「え〜、なんでよ?」

俺は冗談ぽく答える。
「佐藤さん、仕事教えるのうまいっすよね〜。ぜひともまた教わりたいなぁ」

佐藤さんはめっちゃ爆笑していた。
「ぷっ!ごめん、ちょっと気持ち悪い!」

「うーん、本心を言っただけなんすけどね〜!」
「きもーーーwじゃあ△日でいいかな?」

俺はこうして佐藤さんに懐いた。

研修期間が終わると、ボウリングの受付業務だけは1人で出来るようになった。

平日の夜なんてお客さんはあまり来ないけど、その日は団体予約でのレーン占有率が80%を超え、
さらにマシントラブルなども重なり、一般客を待たせる非常事態だった。

「2名様でお待ちの、ヨシダ様、ヨシダ様。レーンをご案内しますので受付にお越しくださいませ。」
俺はマイクを持ってアナウンスした。

「ヨシダです。」
やってきた大学生2人組から料金をもらい、レーンを案内した。

彼らが投球を始めた後のことだった。
「おい、お前ぇ!」
「は、はい、何でしょう?」
50代くらいか?サラリーマン風の3人組がいきなり俺を怒鳴った。

驚いて少し萎縮してしまった。

「あいつらより、こっちが先だろうが!」
「え??……ええ??少々お待ちください!……」

しまった!ヤバイことをしてしまった。
受付の順番を確認すると、確かにあの大学生よりもこのおじさんたちの方が先だった…!
俺のミスだ。

「どうしてくれるんだ!?おぉ!!!!?」
「自分のミスです!申し訳ありませんでした!」
そう言って頭を下げてみたが、ダメだった。

「あいつらを止めさせろ。で、おれらをそこのレーンに入れてくれよ。」
「いえ、それはできません……」
大学生はもう投げている。
彼らに迷惑だ。

「ああ!?なんだとぉ!?このクソガキぃ…」
このおじさんたちはしばらく受付を離れず、ずっと文句を言われた。
時々、場内に響かんばかりの声で俺を怒鳴る。

その時、先輩は3人。
1人はレッスン対応、
もう1人はフードコーナーでポップコーンやドリンクの調理に追われている、
そして佐藤さんはレーンのメンテナンスをしていた。

「申し訳ありません!」
「それで済むかや!!クソガキ!」
ただ1人でひたすら謝ってた。

みてるぞ

>>16
本当ありがとう!
少し不安だった(笑)

その時、佐藤さんがメンテナンス作業を放り出して受付まで慌てて来てくれた。

「お客様!どうなさいましたか?」
「ああ、あんた、いつもいる姉ちゃんだねぇ…」
「はい、どうされましたか?」
「こいつがさぁ…」

佐藤さんはお客さんを受付から少し離れたところに導き、苦情を聞いてくれた。
その間、おれはボウリングを終えたお客さんの会計をしなくてはいけない。

佐藤さんが「あんたの教え方が悪い」とか言われてるのが聞こえる。
会計の処理をするも、気になってしょうがない。

最終的にお客さんは収まった。
おっさんたちは「あんたも、自分のミスじゃないのに謝って大変だねぇ〜」
と佐藤さんに言ってて、

ちくしょう、
ちくしょう、、と思った。

佐藤さんが1ゲーム無料券をお客さんにあげて、場は収まった。

「佐藤さん、さっきはすみませんでした……!」
お客さんの数が落ち着いてきて、俺と佐藤さんは受付で立っていた。

「んーー?何のこと??」
「え??」
「いやあ、何のこと??」

佐藤さんはすっとぼけた。

「あの、これからは気をつけます!」
「ふぅ、ま、ミスは誰にでもあるからね。大丈夫。気にしないで。」

そして俺が着替えを終えて帰るとき、佐藤さんに声をかけられた。

「あ、タロウ、ちょっと」
「はい、なんですか?」
「これ」

佐藤さんはフードコーナーからハッシュポテトを持ってきてくれた。

「これ余ったから。あげるよ。元気だせよっ!」

この件以来、俺は佐藤さんをより慕った。
「シフトは佐藤さんと一緒の時が一番楽しいなぁ」
「はいはい。あ、7番レーン、さっさと片付けてきて。」

俺は高校中退して、佐藤さんはフリーター。
しょっちゅうシフトが一緒で仲良くなった。
俺はジャンプが好きでバックヤードではよく読んでたんだけど、
「読ませてよ」とか言ってよく佐藤さんも読んでた。

彼女はスケットダンスとかジャガーさんとか、ほのぼの系が好きだったな。

彼女と話すことは、高校中退して人付き合いが無かった俺にとって唯一の楽しみだったかもしれない。

しかし、それは長く続かなかった。

簡単に言うと、ボウリングの店長みたいな人が新しく着任して
そいつが佐藤さんのことを好きになった。

で、そいつは佐藤さんにセクハラまがい発言をしたり、
仲良かったりする俺が気に入らなかったらしい。

問題にならないようなミスや、少しでも作業が非効率ならばいちいちそれをつついてくる。
「あったまわりぃな、オメエはよォ!」

そしてネチネチネチネチと説教だ。

バイトの他の人は「大丈夫か?」って心配してくれたりもした。

この新店長が憎たらしいのは、俺に対する嫌がらせを決して佐藤さんの前ではしないことだった。

俺にしても、佐藤さんに相談しづらかった。
やがておれは新人の前でも店長にバカにされるようになった。

それが引き金になりバイトをやめた。

そろそろ受験勉強もやらなくてはいけない。ちょうどいいじゃないか。

高校にまだ通ってれば2年の1月という時期だ。
ユニフォームをロッカーに置いたまま、バックれた。

数日後からボウリング場と佐藤さんのケータイから不在着信が嵐のようにやってきた。

俺はそれを全て無視した。

○本編

ボウリング場のバイトをやめると、朝日新聞にはその年のセンター試験が載っていた。

高校中退をしていなければ2年の1月という時期だった。

(もう1年しかないんだな……)

実は中退するとき「もし大学に行くなら国立しか認めない」とお母さんに言われていた。

「中退なんて、勝手なことしてるんだから国立しか認めない!」

というのがお母さんの考えだった。

(なんだその理屈は)と思ったが
当時はとにかく高校をやめたかったので「わかったよ」と言った記憶がある。

ともあれ、超苦手な数学を解いてみると1Aも2Bも5点とかだった。

俺は数学以外はまあまあなんだけど。
その結果をお母さんにみせて、私立文系はダメかな?と聞いてみる。

すると「自分の言葉に責任を持ちなさい」と冷たく言われた。

不貞腐れた俺は2月はニートのような生活をした。

2chを見たり、深夜のコンビニで立ち読みをした。

3月になり、(流石にヤバイ、数学を勉強するポーズだけでも見せるか)と思って塾に通うことにした。

おっちゃんみたいな人が経営している塾だった。

授業形態が少し特殊なんだ。
教室の中には6人くらいの生徒と2人くらいの先生がいる。

生徒は好きな問題集を解いてわからないことがあれば先生に聞きに行く、という塾だった。

そんな塾だから先生も毎回変わる。

だけど俺はイケメン先生(仮)に面倒を見てもらうことが多かった。

授業前に教科書(たしか東京書籍かな)をといて、
授業が始まればイケメン先生に質問する。

現役一橋大生のイケメン先生の説明はわかりやすかった。

授業後はイケメン先生が用意してくれた類題とかを復習する。

これの繰り返しでまずは2次関数を勉強した。

イケメン先生と俺はだんだん仲良くなり、塾の中ではバディみたいになっていた。

そんなある日のことだった。

授業中、イケメン先生の他に女の先生がいることを発見した。

(おおお…かわいい…)

女の先生は白いブラウスに黄色いスカートをサラッと履いているみたいな着こなしなんだ。

塾の規則で男の先生はスーツ、女の先生は控えめなものと決まっていた。

おれはこういう清楚なファッションに弱い。

くそ!なんで俺の先生はイケメンなんだ!

観察していると、女の先生は理系だとわかった。
生徒たちが化学やら生物の質問をしている。

ああちくしょう!
どうせなら女の先生に教わりたい〜〜!

でも、
「タロウくん、それ終わったら次このプリントやろうか」
とかイケメンがかまってくる。

女の先生に質問に行けないじゃないか!

どうせなら女の先生に教わりたい〜

だけど次の授業もその次も
女の先生の他にイケメン先生がいて、そのせいで質問に行けない。

ああちくしょう、つまんね〜

そんなある日、イケメンが他の生徒の質問に追われ、女の先生がフリーという状況があった。

チャンスだ!

俺は東京書籍を片手に、コソコソと女の先生の席へ近づく。

イケメンをチラチラと警戒しながら、ゆっくりと女の先生のもとへ…

「こんにちは…タロウと申します…」
超小声で、女の先生に話しかける。

女の先生が苦笑いするのがかわいい。
「ここ、わからないので教えてもらえませんか…?」
「えっ?イケメン先生に聞かなくていいの?笑」

くぅ〜!
声がかわいい!

「実はですね、前回イケメン先生とケンカしまして…(嘘)質問しづらいっていうか…」
「あははw」

女の先生は苦笑いしながらも、対応してくれた。
「どの問題がわからないの?」

ああもう、俺のノートに説明を書き込んでくれる、その白くて小さな手がかわいい!

キーンコーンカーンコーン!

授業が終わった。

教室を出る時にイケメンが
「今日なんで俺のところに質問こなかったん??笑」

というので「おつかれさまでしたー!」というと「おつかれ笑」と言われた。

高校に行ってないから朝から晩まで塾で勉強した。
本当は朝に自習室とかいちゃだめなんだけど、塾長が特別に認めてくれた。

数学以外はまあまあだけど、数学がとにかくアカンから、勉強時間の半分は数学だった。

ある日の授業。

「俺の科目で誰か質問ある人いる〜!?」
イケメンが教室に呼びかける。

「タロウくんは?数学の質問ないの?」
「ありません」
「え?でもさ、手が止まってるけど?」
「いいえ、ありませんよ」
「そうか…」

直後、女の先生が他の生徒の質問に対応し終え、
「手が空きましたー。私の科目で質問ある人いますか〜!?」

と呼びかけたので、俺は勢いよく席から立ち上がって
「はいっ!はい!数学の質問があります!!」

イケメンが「おい!www」とキレてるww

女の先生はウケてくれた。
「この問題がわかんないんすよ〜教えてください!」

この女の先生は木下先生という。
お茶の水女子大の1年生だと知った時にはびっくりした。
俺の一個上じゃないかw

ともあれ、俺は木下先生になついていった。

タロウクソ過ぎわろた
柏木とつるんでた頃はまだ許せたがイケメン先生から女に乗り換えた所は特にくそだわwww

>>36 イケメン先生ごめんなさいwww

見てるぞ

>>28
ありがと~!
もう少し書いていく

ある日、木下先生と別の女の先生ということがあった。

「はいはーい!質問がありまーす!」とか普段の調子でやってて、木下先生もいつも通り苦笑いだった。

すると別の女の先生が「木下先生のストーカーしてるのはあんたか!」と言ってきたので、

「ちちちち、ちがいます!」と反論すると、

「いいよ、数学でしょ!?私が教えるから」となった。

えええええ!やだよお!
とか思ったけど、いや…

この先生もなかなか綺麗じゃんか……

この塾は中1から高3までを対象としている。
だから平日の朝は本来空いていないんだ。

塾長が俺にだけ特別に自習室を使うことを認めてくれ、カギをくれた。

そんなワケである日の朝、いつものように自習室でひとりで世界史をやっていたと思う。

すると「コンコン」とノックする音が聞こえた。

「はい!」と返事して、誰だろう?と思うと、木下先生だった。

「どうしたんですか?大学は?」
「今日は午後からだから」

木下先生はそう言うとカバンの中から紙袋を取り出した。
「はいっ、これ使ってみて!」
「え?なんですか?これ?」

紀伊国屋の紙袋を開けてみると中には参考書が入っていた。
数学の「面白いほどシリーズ」だった。

「タロウくんいま教科書で予習してるけど、
たぶんそっちのほうが説明がわかりやすいと思うよ!」
「わざわざ買ってくれたんですか!?」

“図形と方程式”が面白いほどわかる本、ってタイトルだったはず。
「まぁ、ためしに使ってみてね、がんばれっ」
「あ、ありがとうございます!」

「じゃ、またね!」
そういって先生は帰っていった。

正直うれしかった。
すごくうれしかった。

その本を机の片隅において世界史の勉強に戻った。
だけど木下先生がわざわざそこまでしてくれたのが嬉しすぎて
世界史に集中できなかった。

どうしてもチラチラとその本を眺めたり、読んだりしてしまう。
ニヤニヤしていたと思う。

はやく

俺はどんどん先生になついた。
「先生は教えるのうまいなぁ」とか言うと、先生は苦笑いする。かわいい。

ボウリング場の佐藤さんが「はいはい。あっそ。」
とか言ってあしらってくるタイプだったのとは対照的だった。

もはや木下先生としゃべったり勉強したりするのはモチベーションだった。
だからか、受験勉強も順調に進んだ。

かつて新聞部の柏木やボウリング場の佐藤さんと仲良くなったように、
毎日は楽しかった。

ゆうきという友達もできた。
「タロウはいいよな~!木下先生に教わってるなんてさぁ」

ゆうきと俺は悪友だった。
2人で木下先生のことを勝手に妄想した。

「御茶ノ水だから彼氏はたぶんいないだろ?」
とか
「木下先生とデートしたい」
とかね。

ある夜のことだった。
俺は自習室での勉強を切り上げ、ゆうきと合流した。
家が同じ方向だから、これからチャリで帰宅する。
駐輪場で少しだべってた。
まっすぐ帰るか、コンビニ寄るか俺達は考えていた。

すると「あ、タロウくん、お疲れ様~!」
と言って、木下先生が塾から出てきた。

彼女のとなりには男がいた。
「ほう・・・」
たしか文系の先生で、砂川先生という。

木下先生たちは俺たちの前を通り過ぎ、駅のほうへ歩いていった。
ゆうきが「あれさ、仲良すぎじゃね?怪しくね?」
というので、「怪しいっすね」と返した。

ゆうきが「ストーキングしようぜ」というので、
「するしかないっすね」と返した。

実際、歩く後ろ姿はかなりイチャイチャしているように見える。
あやしすぎる!

俺達はチャリを放り出して、木下先生たちのあとを尾行した。

「砂川先生ってさ、青学なんだよ」
「ふうん・・・」
尾行しながら、ゆうきが教えてくれた。

「あっ!肩と肩がぶつかった!」
「おいおいおいぃ・・・」
どんだけイチャイチャするんだあいつらは!

別に木下先生と付き合えるなんて思っちゃいないけど、
なんか砂川先生と付き合ってるとか考えると「イヤだな」と思った。

「ちくしょう!・・・あの青学ヤロウ!」

木下先生たちは駅に入っていった。
よしよし、順調だ。
あとは普通に電車に乗れば、まぁあまり問題はないだろう。

木下先生たちはJRの改札を通り過ぎた。
「ん?私鉄かな・・・?」

でも違った。私鉄でもなくて、駅の2階へ上がっていった。
ゆうきが言う。
「おいおい、2階に上がっていったぞ・・・」

ちょっとまってくれよぉ!
2階って、そこへ上がったらもうレストラン街しかないぞ!!!!

「なんで女ってやつはこうなんだろうな?」
ゆうきが尋ねてきた。

俺が知るかよ。
2人が2階へ上がっていってから、5分くらい俺とゆうきはブツブツつぶやいていた。

ゆうきが「とりあえず俺らも2階に上がってみようぜ」というので
同意してエスカレーターに乗った。

レストラン街に到着。
8つほどのレストランがある。

「こういう場合はイタリアンだろ!」とかゆうきが言うから、
まずパスタ屋を除いてみる。

すると、木下先生と砂川先生がいた・・・・・・

気づかれないようにガラス窓の外から2人の様子を見る。
スーツを着た砂川先生。
高身長で似合ってるじゃないか。
さすが青学。

木下先生も楽しそうだった。
俺とゆうきはフロアにあったイスに座り、またブツブツとつぶやきあった。
「なんかおれ、勉強する気なくなっちゃったよ・・・」
「わかる笑」
「・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・もう帰ろうや?」
「そうだな・・・・・・・」

まぁそういうこともあったけど、俺は先生に恋愛感情があるワケじゃない。
砂川先生とイチャイチャしているのを見なければオーケーだ。

「ちゃっす!先生は今日もステキっすねw」
とか言うと困りながら苦笑いする木下先生を見るのが楽しみなのだ。


木下先生は俺に数学の勉強計画を立ててくれた。
大体こんな感じだったかな?ウロ覚えだけど。

3・・・2次関数
4・・・三角比
(ここまではイケメン)
5・・・図形と方程式
6・・・三角関数、指数対数
7・・・微分、積分
8・・・復習

まぁこういう感じでざっくりと計画を立ててくれて、
「面白いほど~」で宿題を出すときもそれに沿ってくれた。

数学以外にも英語国語世界史とやることはたんまりあったから、
木下先生がペースを管理してくれたのはありがたかった。

当然のことだけど、勉強が進むにつれ、
どんどんと先生の出す宿題の量は増えていった。
大体、こんな感じでメモ帳の切れ端に書いてわたしてくれる。

“指数対数 theme4~10まで予習”
“今日やった、図形と方程式 theme12~20まで復習”
“プリントにしたセンター試験の 「2次関数」「3角比」を40分で解いてみること”
“次回、図形と方程式の小テストします”

(※適当だからね。例えばこんなんだったよっていうかんじ。)

俺が勉強するのは数学だけじゃない・・・・・・
世界史だって未習範囲だらけだし、古文漢文、生物なんかだってある。

正直なところ、増え続ける数学の課題をこなすことは苦しくなっていた・・・・・・

そんなある日、俺は初めて木下先生の出す宿題をやり切らないで授業へ行った。
本当にムリだった。

「お疲れサマっす!」
「はい、じゃタロウくんはこの小テストやっといてね」

先生が用意してくれた小テストを見る。
宿題の範囲だ・・・やってないからできない・・・

「あの、木下先生・・・」
「うん!なに?」
「すいません、この部分宿題まだ終わっていなくて・・・できないです」

すると先生は表情をなくした。
真顔で俺を見る。
俺はドキっとした。
彼女が俺をみる表情は、ゴミクズを見るそれに感じられたからだ。

「・・・・・・・・」
先生は少し押し黙ったまま、何かを考えているようだった。
緊張した。
俺の手には先生の作った小テストがあった。

「じゃあそれ、返してくれる?」
「え?・・・・・・あ、はい。」
先生は俺が握っていたプリントを抜き取った。

「それじゃ、タロウくんは、席座って、自習してていいよ」
「・・・はい・・・すみませんでした・・・」

周りの人はどうも思っていないだろう。

でも俺にはわかった。
木下先生は俺に冷たい態度を取った。
普段とは違う、冷め切った態度だった。

俺は仕方なく授業中に自習を続けた。
心はソワソワして落ち着かなかった。

どうだろう?
見てくれる人いたっぽいですね。

すまないが残りは明日にしてください・・・
卒論は出したんだけど、明日軽めの授業のテストがあるんすよ
勉強します・・・

明日スレあったらまた書きますね!

気になる

なげえよ、弟子入りしたところにとっとといけよ。

楽しみしてます

高校中退からボウリングのくだりまでいらんだろ

はよ

テスト終わったあと友達とスマブラやってましたw
今帰りましたw

~授業中~

木下先生に冷たくされ、
心がそわそわして勉強がはかどらない。

先生はわざわざ小テストを用意してくれた。
でも俺はそれに取り掛かる予習さえしてこなかった。

だから木下先生は怒っていると思う。

でも正直なところ、先生の要求が厳しいのも事実だ、と思う。
さすがに数学にばかり時間を割けない。

(しょうがないじゃんか・・・)

(なんだ、この空気は・・・)

少し混乱した俺は、「面白いほど」から適当に問題を選び
木下先生に質問してみることにした。

なんでもいいから喋って落ち着きたい。

「先生、質問いいっすか!?」
「・・・あ、うん!・・・」

ああこの問題ね・・・・・・
まずここに書いてあるように・・・・・・
まあポイントはこれかな・・・

「それじゃがんばってね」

このセリフを言う時に、いつものような微笑はない。

ただ無表情だった。
間違いなかった。

次の日は数学の授業はなかったけど
高校に通っていないので当然塾に行った。

自習室で勉強した。
数学以外を。

数学は道具は持っていったけど、本を開く気にならなかった。
やっぱり俺って数学アレルギーなんだよ基本的に。

もっとも初歩的に書かれている参考書を先生が用意してくれて、
先生がペースメーカーと質問対応をしてくれて、
それでやっと勉強が進んでるんだよ。

木下先生におんぶにだっこだ。

叩かれるの覚悟で言うと、
ぶっちゃけ数学なんぞエロ心だけでやってるに等しい。

数学がない分、その日の勉強は普段より2,3時間早く切り上げて帰ったのを覚えている。

「私立文系にしたい」
家に帰って、夕食をとるときにお母さんに主張した。

「文系だと私立はそんなにお金がかからない」
「数学を捨てれば、英語や国語や世界史に2倍くらいの勉強時間を注げる」

いろいろと主張してみたが、ことごとく却下された。

「そういう問題じゃないの!」
お母さんはあきれるように言った。

「中退するときに、“大学いくなら国立しか認めない”って言ったら、
お前は“わかった”って言ったよね!?」
「・・・・・・」
「言葉に責任を持ちなさい。」

お母さんはそこは譲らなかった。
“絶対国立”

まぁ中退したときに俺が宣言しちゃったことでもあるんだけどね・・・。

しょうがないから、数学をやるしかない・・・・・・


勉強机の上を見れば「面白いほど」が3、4冊転がってる。

・・・今までにやり遂げた分の「面白いほど」だ。

それを無駄にしたくない気もした。もったいない。

「やってみるか」
そういう気持ちになった。


とりあえず、木下先生への申し訳なさがあった。

小テスト用意してくれたのに・・・

それから、木下先生が作ってくれた数学の“勉強計画表”を見れば、
ますます申し訳なくなる。

やろう!なんとかしよう!

俺が考えたことは、木下先生の次の授業までに勉強計画の遅れを取り戻す、ってことだった。

つまり、昨日サボってしまった宿題をやるのがまず1つ。
そして宿題をちゃんとやっていれば、昨日の授業でまた宿題が出されたはずだ。
“おそらくこの辺が宿題になっただろう”という範囲まで自分で勝手にやるのがもう1つ。

こうすれば木下先生の勉強計画は元に戻るわけだ。

こう考えて、俺はその夜から英語などの勉強を停止させ、
3日間くらいほとんどすべて数学に時間をかけた。

すべてを投げ出して数学ばっかやってた。
間違いなくエロ心がそこにはあった。

かなり大変なことだったし、正直国語とかの勉強ペースは崩れたw

だけどなんとか、木下先生の授業に間に合わすことができた。

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