大学受験のとき女子大生に弟子入りした話

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駐輪場に行くと、なんと柏木がいた。

たぶん間違いないと思う。
あれは柏木だった。

柏木は俺のよく知らんやつと一緒に駐輪場のチャリにまたがって、だべってた。

どうしよう・・・・あいさつとかしようか・・・・

いや!する!

緊張した・・・。

でもなんだか脚がすくんだ。
そうすると柏木とよく知らんやつは俺の方を見た。

(ねえあれってさ・・・)
よく知らんやつのほうが、柏木に俺の聞こえないくらいの声でそういってる気がした。

ドクンドクンした。
どうだろう・・・。
柏木は俺をよく思ってないだろう・・・。

中退したときに心配してくれたのを無視したんだから・・・。
どうだろう・・・。

(いこうぜ。)
柏木はよくわからんやつにそういったように聞こえた。
(え?いいの??)

柏木はチャリを動かして
(いやいや笑 いこうよw)
みたいなことをしらんやつにいった。

柏木たちは行ってしまった。

これ以来、今に至るまで柏木には一切あっていない。

前期入試の準備をした。

正直に言えば、この時期はすごーーくラクだったw

数学がないのだからw


木下先生に会うこともなくなった。

たまにろうかで会うくらい。

センターの数学の結果を伝えると「よくがんばったよお・・・!」と褒めちぎってくれた。
数学で200点中110点。

理想的な点数じゃないけど、先生のおかげで前期入試への望みをつないだんだ。



3月アタマころ、前期入試の結果が出たんだと思う。



俺はなんと  合  格  した。

母親が泣いていた。
「よくがんばったねえ・・・・・・うっ・・・うっ・・・」

別に高校行かなくても大学に行くルートは存在する。

そういう気持ちでいたけど、お母さんはそうじゃなかったんだよな。

常に心配してくれたし、こんな俺のために毎日おにぎり握ってくれた。

俺は長男だし、お母さんたちも大学には行っていないから、いろいろ初めてで不安だったはずだ。

お母さん、ありがとう・・・!

そういうようなことをお母さんに伝えた。
祝い事の時には、へそくりでごはんに連れて行ってくれるのがウチのお母さんだ。

合格発表当日、おいしいものを食べさせてもらった。
自分がヒーローかなにかになったみたいで幸せだった。

ゆうきは最終的に青学の理系に受かった。

相模原キャンパス。
いまでもたまに飲む仲だ。

かなこは前期で御茶ノ水を受けたかったが、高校の担任がそれを認めず、
ランクを1つ落として、俺と同じ大学を志望した。

前期で不合格。
後期で合格した。



後期入試が終わって、その結果まちをしているくらいの時期のことだ。

塾で祝勝会が行われた。

祝勝会の場所は塾がある市の市民会館だった。

会場に行くと、外で先生たちがスーツを着て待機している。

無造作にうじゃうじゃと先生がいる中、俺は木下先生を発見した。

「木下先生~~~!」

合格はすでに報告してあるしメールもしているけど、俺は木下先生に
万感の思いで抱きつこうとヨタヨタと歩きながら両手を広げ先生の方へ向かった。

「キモイww」バシッ!
「いてええw」

よく知らない女の先生に脚をけられた。


祝勝会では先生たちがAKBのダンスをしてくれたり、
塾長がギターを披露してたりして楽しかったw


俺はパーティの間中、木下先生にべったりしてたけど、

途中からイケメン先生や、塾長。

話相手になってくれたほかの先生、

そういう人たちと喋ったり、感謝したりした。

帰りは仲のいい生徒同士で帰った。

もちろんゆうきとかなこだ。


俺は1つ決めていたことがあった。

ウチの塾では、合格者は合格体験記を提出し、その時にお世話になった先生と写真を撮る。

どー考えても俺の場合、木下先生とだ。

そのときに、告白しようと!


ゆうきが言った。

「タロウ・・・!」
「なに?」
「あのさ、木下先生さあ・・・」

「うん」
「イケメン先生と付き合ってる・・・って。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・え・・・???」

かなこが
「マジで・・・!?」と言った。

ゆうきが
「いや、本当、さっきさ、タロウが○×先生と長いこと喋ってたじゃん。
その時に、2人から聞いた・・・。」

「マジかよ・・・・・・・」

アタマが空になった。

かなこが「え、タロウってさ・・・先生のこと好きだよね・・・?」という。

「うん・・・。」

ゆうきが言った。

「なんかさ、すごい最近付き合い始めたらしい。前期入試のころとか、その辺だってさ。」


マジかよ・・・・・・・・・


市民会館からちょっと離れたところに図書館があるんだけど、

その図書館の入り口の石段??みたいなところに3人で座って、

俺の慰め会みたいになったwww
失恋会ww

はい頑張れ

はあ・・・・・・!!!

ゆうきとかなこと別れて、俺は1人でぼうっとした。


意味もなく駅前のマックに入ったり、もう受験生でもなんでもねえのに参考書コーナーに入ったり、

とにかく意味もなく足を動かした。

すごい夜になった。

もうそろそろ帰ろうか・・・・・・。

駅へ向かうと、高校の先生を発見した。
書類取りに言った時の、M先生。

すっごい偶然だった。

「タロウ!どうだった!入試は!」

「ああまあ、、、A大学に合格しました・・・」
「おお!やるじゃん!よっかた!本当によかったよ!!」
「ありがとうございます・・・・・・」

「なんか元気ないっていうか、顔色変だぞ?」
「ああ・・・ちょっと・・・今日失恋しまして・・・」

軽く出来事を話した。
先生に恋した。
先生は他の先生と付き合ってた。
失恋した。

「そっかwそれで落ち込んでんのかw」

「はあーーーっ!」

ため息を吐き、また頭がぼうっとする。
そうすると先生は

「お前!いいカオしてるよ!!!そのカオなら次はモテるよ!!」

みたいなことを言った。
むしろ叫んだ。駅前なのに。

そうなのかな?って思えてきて「ありがとうございます」って言って先生と別れた。


でも実際どうしよう・・・・・・
はああ・・・

そんな感じで帰宅した。

ウダウダと悩みに悩んで、とりあえず先生に告白だけすることにした。

合格体験記もってって写真撮るまで待ち切れなくて、祝勝会の次の日にメールした。

「先生、一年間おせわになりました。」
「最後に先生に言いたいことがあります、塾に来てくれませんか?」

こんなメールだったと思う。
誰にも相談しないで書いたメールだ。
フラフラのアタマでなw

先生からの返信はこなかった。

次の日もこなかった。

その次の日のことだった。

これは明確に覚えてるんだけど、俺が自宅でウ○コをしているときにメールを受信した。
「いいよ~^^ じゃあ、○曜日に塾来れる?」みたいなメールがきた。

ある日の夜だった。
塾の外で先生と待ち合わせた。

さすがに塾の中で話せる話じゃない。

「先生、よければご飯でもどうですか?」
「いいよ。行こうか。」

ちゃんとしたところで話したいと思って、俺は駅近くに立つホテルの1Fでビュッフェみたいなのを
一般客向けにやってるんだけど、その店をHPでチェックしていた。

最後くらいちゃんと話したいと思ったんだ。
3000円かかったけど。

「俺、昔バイトやってて、金は腐るほどあるんです・・・。だからお金は気にしないでいいですよ」
「そうだね、ここにしよっか!うわ~おいしそ~~!」

一緒に料理を運んできて、一緒に食べる。

よく考えたらこんな環境で告白なんてできねえよなwと思った。

実はその日、朝から暗い気分だったんだ。

だけど実際に一緒にご飯食っておしゃべりしてると、イケメン先生が彼氏なことなんて忘れてしまうw
没頭してしまう!
やっぱこの人が好きで、楽しくて、幸せだった。


いろんな話をした。
ゆうきのこと、かなこのこと。

4月からの俺と木下先生のこと。

2回もバックレたこと笑

そしてイケメン先生を離脱して木下先生になついたことww

この話のとき少し気まずくなったww

窓の外を見れば店が並んでるのが光ってキレイで、
料理はおいしくて、

先生はかわいくて、
俺は楽しくて、


そういう時間はすぐ終わった。
会計は「俺が勝手に誘ったからいいっすよw」
っていったけど割り缶になった。


ホテルを出た。
なんかエントランス?みたいなとこだ。

幸い入ってくるときにいた、ボーイみたいなやつはいなくて、人気も無かった。

そこで告白した。

「木下先生・・・俺ずっと、」

先生の顔をまっすぐみた。
ずっと、の途中で泣いてしまった。

言葉をとめると、

先生も泣き始めた。


ああ、なんでイケメン先生が、

あんないい人に勝てるワケないじゃないかw
よりによってなんであの人だw

ぐずぐずになりながら、涙混じりに言い切った。
「俺、ずっと先生のことが好きでした・・・ぐずっ・・・」

先生は涙をぬぐった。
「ありがとう・・・!ごめんね・・・!」

「はあーーーーーーーーー!イケメン先生ですか!笑」

先生は俺を見る。
すごい泣いてたw

「あの人には勝てないなw」

そういって笑ってみると先生も笑った。

「行きましょうか・・・・・・」

俺たちはホテルを離れて、歩き始めた。

「もうちょっと話していかない?」

木下先生はそういった。

俺もそうしたかった。「いいっすよ」
そのホテルの別の入り口に入り、なんかイスに座った。
幸いそこにも人はいなかった。

グダグダと雑談した。


先生はその中でこんな話をし始めた。

「ねえ、塾講師ってさ、なんで生徒に教えると思う?」

「なんでって、う~ん、カネのため?」

「そうそう、あのね、気持ちを教えてくれたから、もう今日は私も思ってること全部話すよ笑」

「はい笑」

「正直さ、お金のためなんだよね。塾講師ってあんま儲からないんだよ。」
「そうなんすか?」
「正直、飲食店でバイトしてる友達のほうがうまくお金稼いでるなあって思うよ。」

先生は続けた。

「真剣にやるとさ、結構先生自身も予習が必要だったりして、大変なんだよね」

「ああ~俺には特別にプリントまで用意してくれましたもんね・・・・・・」
「そうだね笑」
「あれって塾長の指示でしょ?」
「まあそうなんだけど、タロウくんはさ、他の生徒よりもすごく素直に、熱意ある感じで付いてきてくれるんだよ」

先生は続けた
「だからさあ・・・そういうことも苦じゃなかったな・・・。
正直、みんな先生たちもさ、手抜いてるんだよ。だけどタロウくんには、キチンとしたかったんだあ・・・」

「本当にありがとうございます」

俺はエロ心で先生についていっただけだ。
それがこういう風に解釈されたわけで、なんか微妙だったけど、
先生にとって俺は特別な生徒だとわかりうれしかった。

「タロウくんは、やり切ったよ!堂々と大学にいきなよっ!」

「ありがとうございます!」

その後、駅へ行った。
俺はチャリだから電車には乗らない。

「じゃあね」

そういって、改札を通る先生を見送った。

先生は俺を振り返った。

俺はポケットに手を突っ込んで、真顔でそれを見つめた。

先生は俺の方をみながらも、歩いて、消えていった・・・。

○後日談

俺はボウリング場でアルバイトをしていた。

電話をかけるところからやり直しw

その電話には佐藤さんが出て「とりあえず面接きな」と言われた。

面接には新店長と佐藤さんがいて、バックレについて猛烈に謝罪した。

店長のほうは「まあそのバックレはしょうがなかったんじゃない?」って言ってくれたけど、
佐藤さんは微妙な顔をしていた。

「次はないからな?タロウ!!!」
「はい!すみませんでした!」

そう佐藤さんに約束して、俺はボウリング場のバイトに復帰した。



すごくシフトにたくさん入った。

理由は大学生になるから服を買うかねが欲しかったのと、ギターが欲しかったw

ある日、ボウリング場でのバイトを上がって外へ出ると、そこにかなこが来た。

俺が呼んだのだ。呼んだっていうか、そうなったんだけど。

「木下先生に告白した」って言ったら、「やり切ったじゃんw」と言われて「えらい」と褒められた。

「失恋会しよう」っていうから、「ボウリングのバイト忙しい」って言った。

「ヒマでしょ~?遊ぼうよ~」っていうから、「じゃあボウリングしよう、俺がバイト終わる頃にボウリング場に来て」と言った。


「お前全然ボウリング興味ないじゃんか!」
いざボウリング場に来たかなこはゲームセンターコーナーでひたすらはしゃいでた。
たいこの達人とかエアホッケーとか、クレーンとか。

佐藤さんがゲームセンターコーナーにやってきて、俺にこういった。

「かわいいじゃん。彼女?w」

「そんなんじゃないっすよw」

こうしておれは佐藤さんと前のように姉弟のような関係に戻れたのです。

~大学受験のとき女子大生に弟子入りした話~

おしまい。

弟子入りってこういうときに使う言葉だっけ?

面白かった
その後気になる

完走ありがとう>>1

とても面白かったよ~
特に先生との別れのシーンなどは格好良かった


俺も暇ができたら過去話を曝そうかとおもう
>>1みたいに格好良くはないけどねW

乙!
すげぇ面白かった

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